【11】 要「用というほどのものはないんです。建築に興味がありましてね。とある建築家の作品を見て回るのが好きなんです」 有端「まさかこんな場所に、来客があるなんて。そうよね?相神さん」 相神「ええ。驚きました。身体も冷えたでしょう」
【12】 相神「何をしてるんですか」 要「わかりません。人は時に思いがけない行動をしてしまうもので」 相神「それを抑えるのが理性というものですね」 要「理性。誰もが持っていると信じたいですね」
【13】 ミユキ「春の嵐って言うんですか?あの2人、無事帰れるかな」 カイジ「風で飛ばされたら笑える。何にせよ。これで少しは静かになる」 ミユキ「これから、こういう静かな時間が延々と続いていくんですかね」
【14】 ミユキ「いえーい」 カイジ「だから!それ違うっての!」 ミユキ「え、ごめんなさい。これどういうゲームですか?」 カイジ「同じ数字を探すだけなんだけど。寧ろ何だと思ってたんだよ」 ミユキ「2枚めくって、いえーぃって言って、カードを獲るみたいな」 ユウシロウ「何だそのつまらないゲーム」
【15】 カイジ「『鍵穴は扉を導く。黒と赤で対を為す』」 ミユキ「『本物は一つ。黒は足し算。赤は引き算』で、どういう意味」 ユウシロウ「わからない」
【16】 ユウシロウ「何の意味もない。いつまで続くんだ。いつ報酬がもらえるんだ」 カイジ「それはまあ確かに。どのタイミングでもらえるんだろうな」 ミユキ「それは、私達との生活に少しの価値も感じてないって事ですか」 ユウシロウ「意味を求めてしまうんだな。だからこれは俺たちの人間性が試されている場なんじゃないかってね」
【17】 ミユキ「だからここに集められた男達は、その理性を試されていたんじゃないかと思うんです。私ここ半月くらい、部屋からお風呂場に向かう時、全裸にシーツだけ纏って移動してるんです」 ユウシロウ「バカじゃないのお前」
【18】 ミユキ「じゃ、この家には私たちだけ。いずれカイジさんとウサゴロウ出て行ったとしましょう、アナタと私二人きり。理性ってものがあるでしょうけど何も感じません?何とも思いません?」 ユウシロウ「そうだな。思わない事もない。二人きりになったら」 ミユキ「なったら?」 ユウシロウ「俺が残った君を殺せば」 ミユキ「え」
【19】 コウイチ「違う入り口から入ったとか?他にあるだろ玄関が。全部で4つ。俺も改めてここへきて気づいたんだ。東西南北に1つずつ」 カイジ「どこに繋がってんだよ。この家の。外への玄関口は1つだろ」 コウイチ「そう思って俺はいつも使ってる、東側から入ってきたんだけど」 ミユキ「玄関、4つも有りました?えー?ま、どうでもいいか」
【20】 ウサゴロウ「じゃあ何?この中の誰かが?玄関を塞いで壁にしたの?左官屋さんなの?左官屋さんの人、手を上げて。いないじゃない!」 カイジ「他に外へ出られる所がないか探してみよう」
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撮影者:佐藤淳一 ※この画像の著作権は団体並びに撮影者に帰属します。