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ある台風の日、4人の女が山奥の館に迷い込む。交際相手を殺害した冬子(川島佳帆里)の為、親友の春香(小舘絵梨)は、同じく友人の多夏美(本多晴)と千秋(犬井のぞみ)を巻き込み、その遺体を山中に埋めようとしたその途中であった。多夏美はこの館に見覚えがあった。失踪した夫の友人が所有する建物で、かつて夫婦で管理を依頼されたものの、断った経緯がある。そこで今現在、ここを管理する相神(渡邊聡)と出会う外では突然の強い雨が降り始めていた。突然、一人の男が侵入してくる。二人は激しい口論の後、乱闘になる。相神は男に何度も殴られ、やがて気を失った。

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旧友の有端に屋敷の管理を依頼された新尾金弥(北川竜二)は、家族を捨て、単身この建物に住む為に昨日訪れたばかりであった。いずれは娘に譲りたいという有端の想いを受け、それまでこの場所をひたすら誠実に守ろうと決めての事だった。前任の男がその信頼を裏切り、建物を横領しようとした結果、この話が自分に回ってきた。金弥もその男・相神の事はよく知っている。そこへ建設会社の2代目、大海(日向翔梧)が訪れる。かつて闇社会とつながりがあった自分の伝手を頼り、様々な面倒なトラブルの解決を依頼してきた男だった為、金弥は即座に、この男の目的に察しがついた。案の定、身ごもっている交際相手を始末して欲しいという身勝手な依頼である。外は間もなく急な雨が降りそうな空模様であった。

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相神は片手に手錠をはめられた状態で目が覚める。片方には、埴生(片桐俊次)という男が繋がれていて、やはり気を失っていた。それどころか、目を覚ました埴生は自分が何者であるかの記憶を失っており、何らかの理由で監禁されているのではないかと推測する。
外の吹雪が強まる中、相神の旧友で、建物の所有者である有端の妻・百合江(高畑亜実)が訪れる。いずれは長女に譲るという夫の言葉をうけ、前もって館の内見にやってきた。訪問を出迎える相神であったが、現在、この建物に管理人は置いてないと聞かされた百合江は、相神の存在を警戒する。身の危険を感じたその時、カナメ(町屋圭祐)という旅人が訪れる。

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館のラウンジでは白い服を着た男女3人が神経衰弱に興じている。彼らは元々、1日1万円という報酬でこの館で暮らすという仕事をするために集められた。仕事を訝しがるカイジ(小原雄平)とミユキ(新野アコヤ)であったが、いつしかその疑念も薄れ、暇つぶしの神経衰弱に没頭していた。ユウシロウ(じょん)はそれが「占有屋」ではないかと推測する。それを知って嫌気がさしてコウイチ(樋口夢祈)とウサゴロウ(道井良樹)はリタイアしたはずが、折しも強風のこの日、2人は下山する事を諦め、再びこの館へ戻ってくる。彼らは今までその存在に気付くことがなかった小部屋を発見する。と、同時に館から出口が無くなり、人の気配がする事に気付く。他の部屋の様子を伺いにいく4人を尻目に一人取り残されたウサゴロウは、相神に遭遇する。

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館に閉じ込められた異変には、その場にいた人々は気づき、それぞれ戸惑い、またある者は自らが何者かによって監禁されたと思い込む。他の部屋の様子を伺いにきた春香は、気を失っていた埴生を救いだすが、彼も同様に、監禁されていると推測し、それが相神の仕業ではないかと考える。同じ頃、ユウシロウは、冬子に出会い興味を持つ。冬子はユウシロウを警戒し、部屋を逃げ出す。カイジは別の部屋で大海に出会い、彼がこの妙な仕事の依頼主であると思い込むが、大海はカイジを、金弥が仕事を依頼した男だと思い、封筒に入った大金と女の写真を渡す。しばらくしてその部屋を訪れた冬子は、自分が殺したはずの大海が何事もなく生きている事に驚愕する

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有端は要を部屋に案内する。彼はとある建築家の作品を探し求めて世界中を旅していた。相神の存在を疑う有端の意を汲んで、要は相神にその真意を問いただすも、彼は、新尾という男が、この建物を横領し、自分を閉じ込められていると説明した。要の手土産のマトリョーシカを弄んでいた有端は、部屋に隠れていたミユキと遭遇する。警戒する有端にミユキは自分が占有屋だと名乗り出てしまう。
誰もいないラウンジで電話をかけようとする金弥は、人の気配に振り返る。そこには3ヶ月前に置いて出てきた妻・多夏美の姿があった。多夏美は金弥を呼び止めるが、金弥は耳を貸すことなく、逃げるようにその場を去った。

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それまで自分達しかいないと思っていた白い服の5人は、館に閉じ込められ、多くの人間が存在している事を再確認する。そして外に出るには、玄関の上に刻まれていた文章が重要だとユウシロウは推測する。「鍵穴は扉を導く。黒と赤で対を為す。本物は一つ。黒は足し算。赤は引き算」。先程見つけた謎の部屋にはカードが入りそうな鍵穴があり、カイジたちがゲームをしていたカードには鍵の絵が描いてある。しかしよく見るとカードにはそれぞれ黒字と赤字で「動作」が書かれていた。本物の鍵のカードを入れなければ外には出られない。しかし、それが本物でなかった場合、黒字の行為は足され、赤字の行為は引かれる。いつしか5人は、本物の鍵を探すという目的を忘れ、他人の行動を、自分の目的に向かって操る事に熱中し始める。

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多夏美の事情を聞いてほだされたコウイチは、多夏美とその息子の為に金弥に家に戻るよう説得するも軽くあしらわれる。ラウンジで千秋は会社の上司である大海と出会う。千秋は彼が冬子の交際相手だという事は知らず、また大海も、千秋と冬子が友人だということも知らない。ユウシロウはカードの力で、千秋を操り、大海を殺害する事を試みる。カイジは仕事の依頼主である大海を守る為に、同様にカードを駆使する。千秋は意図しない行動によって大海に襲いかかる。一方で埴生は自分が金弥に雇われた殺し屋であると思い込み初め、依頼主である大海の為に冬子の殺害に動き始める。大金と写真を渡されたカイジもまた、気の進まないまま、それに協力する羽目になる。

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自分を疑い始める有端を疎ましく思った相神は、ウサゴロウを恐怖で支配し、館にいる邪魔者を排除しようと試みる。有端と要は相神がこの屋敷に隠した歪んだ感情に気付きつつあり、それに近づこうとしていた。そんな相神の殺気を有端は感じており、自らに振るかかる悲劇を予感しつつあった。ミユキは館に縛られた有端や、彼女の娘たちに同情を覚えていた。有端は自分の身に何かあった場合を考え、偶然この館にいた春香たち4人の女性にある希望を託した。館の地下室で、要は木箱に入れられた赤ん坊を発見する。それは相神がひた隠しにしてきたもので、実に健康そうな女の子であった。有端はその子を見て、即座に確信する。

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不思議なカードを用いて大海を殺害しようとするユウシロウと、それを阻止しようとするカイジの戦いは徐々にヒートアップする。カードを鍵穴にいれる度に、女たちの意図しない行動によって大海は何度も命を狙われる。それはまるで、演算によって「死」を導くかのように、計算高いものであった。しかし、最後に冬子の自由な意思を尊重しようと考えたユウシロウは、自らの勇足により、彼女によって刺されてしまう。多夏美と再会した金弥は、自分が家族を捨ててまでここにいる理由を話す。相神から多夏美を逃がす事に成功した金弥は、館の一室では相神と対峙した。相神は自分たちはこの館のもつ記憶の一部に過ぎないと言い、

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相神は以前もそうしたように、金弥の頭にスパナを振り下ろし、何度も何度も叩きつけた。再会もつかの間、金弥と多夏美の別れが近づく。金弥を立たせようとしたコウイチがカードを入れた瞬間、館全体に人の鼓動が鳴り響く。館が目覚めようとしていた。木箱に入った子供を抱えた百合江を相神が呼び止める。それは百合江が産んだ子で、出産して数日後に連れ去らた子供であった。相神は歪んだ感情を吐露する。そんな男の心情には一切答えず、糾弾する百合江めがけて相神は無言でスパナを振り下ろす。あの日と同じであった。館のどこかから、錠が外される音がした。外への扉が現れたのである。真っ先に逃げ出す大海は、相神との間に、時間認識のズレがある事を気にも留めなかった。

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そこへ要がやってくる。百合江の行方を問う要に対し、彼女が来たのは昨年の冬だと説明する。退去を進める相神に要は「因果応報」を説いた。彼には予感があった。この建築家の作品の所有者には何かしらの悲劇が起こる。それを見届け、できれば救いたいと思っていたが、自らはただただ非力であった。誰もいなくなった部屋で相神は子供にやさしく語りかける。その時、背後から血塗れの百合江に襲われ、そのまま意識を失った。百合江は娘に微笑みかけ、テーブルに残された4枚のカードを手にする。
「死ぬ」ものと「死なない」もの。「消える」ものと「消えない」もの。果たしてそのカードを鍵穴に誰かがいれたのかどうかは定かではないが、その日、館は静寂であった。

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あの日から2年後。女4人のグループは再びこの館にいた。旅行中に再びこの山中に迷い込んだのである。この偶然をもはや嘲笑うしかなかったが、誰かの言葉が甦る。「あるのは必然の積み重ね」。正直、あの日、どうやって館を出て帰ったのかはよく覚えていない。それぞれが日常に戻った時、彼女らは知る事になる。車のトランクに入れてあった大海の遺体が消失していた事、死んだはずの彼が生きていた事、そして半年間、まるで自分たちが行方不明だったかの様に扱われた事。すべてが幻の事のように思えていたが、それでもこの館はここに存在している。そんな思い出を語っていると、一人の男が現れる。警戒する4人の前に現れたのは、埴生であった。

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刑事であった彼は2年前、有端家からいなくなった子供と、その容疑者として相神を追ってここを訪れたが、反撃に遭い記憶を失った。彼もどうやって館を出たのか詳しく覚えていない。警察を免職になったその後も、1人、子供の行方を追っていた。再会を懐かしむもつかの間、千秋は館の廊下を1人で歩く女児を発見する。年の頃から、それはあの時期、有端家からつれさられた乳児ではないかと埴生は即座に思い当たる。大騒ぎする彼らの様子を、頭蓋骨を抱えたミユキが伺っていた。
誰もいなくなったこの館で2年間、百合江の忘れ形見である赤ん坊を見守ってきたミユキは、アカネと名付けられたその女の子の未来を、穏やかに見送った。

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