【41】 神宮「とにかく。もう、仕事以外で未世には会わないで欲しい。それ以上でもそれ以下でもない。わきまえて欲しいんです」 男 「誰と喋ってるんだ」 神宮「アンタだね!アンタしかいないね!」
【42】 神宮「俺のおふくろまで手を出してるのか?!」 男 「だって、それが、俺の仕事だからな」 神宮「婆さん騙して、金貢がせてるのか。アンタもそこそこの年齢だろ」
【43】 神宮「未世。この男が、やっぱり池田だな」 未世「誰?お笑い芸人?」 男 「呼ばれる資格はない。俺はただの、ルナブリンガー猛」 未世「誰?お笑い芸人?」
【44】 結有「姉はアナタをこき使ってるのに、存在が目に入ってないっていうか」 キコ「ええ。そういうところありますね。私は全然気にしてませんから」 結有「あれしろ、これしろって口ばっかりでさ、目も合わせようとしない」 キコ「ええ。そういうところありますね。恥ずかしいのかな」 結有「アナタも、言われっぱなしじゃなくて、何か言ってやればいいのよ」
【45】 愛実「言葉でお願いすれば、大抵の事はやってくれるのよ。見たでしょ。ドアも閉めて、鍵もかけてくれる。コーヒーも淹れてくれる」 ―キコ、テーブルの上のカップにポットからコーヒーを淹れる。 大谷「俺の目がおかしいのか。コーヒーポットが浮いている様に見えたが」 愛実「アナタが入ってる間、世の中の技術は進んだって事」
【46】 大谷「仕組みもわからないのに、何もかも便利で片づければいいってものじゃない。何かこの部屋に怪しさを感じる。妙な気配というか」 愛実「不満なら、出て行ってくれていいんだけど。本意じゃないから」 大谷「わかってる。お前の負担にならないようにする」
【47】 愛実「何か。面と向かっていると、気が重いわ。何か音楽を『流して』」 大谷「そんな事もできるのか」 ―キコ、大谷の顔の近くで鼻歌を奏でる。 結有「え、そういう。そういう感じだったの?今までも?」
【48】 キコ「(いれて?コーヒーを?)」 結有「言ってない。聞き入れてと言った。いれなくていい。いれなくて!」 ―キコ、ポットから小箱にコーヒーを淹れる。 愛実「何してんの!?手紙が入ってるって言ったでしょ!」 大谷「俺じゃない!これが勝手にこぼれたんだ。びっちゃびちゃだよ」
【49】 大谷「本当だ。信じてくれ。神様に誓ってもいい」 愛実「その口から神様なんて言葉二度とききたくないのよ。どの神様よ」 大谷「おぺいぺい様だ」 愛実「やっぱりわかってないね!」 大谷「本当だ。わかってる。誓うから。この命にかけて。命をペイして」
【50】 愛実「考えた事ある?自分の父親が『おぺいぺい』だって公言できる?」 大谷「神の名を、あだ名みたくペイするな」 愛実「私、あの後しばらく職場で『おぺい子』って呼ばれてたのよ」 大谷「あだ名みたく使われちゃってんじゃねぇか。神の名がよ」
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撮影者:佐藤淳一 ※この画像の著作権は団体並びに撮影者に帰属します。