Infernoの世界 of #021 PerformenIV~Inferno~

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Inferno(地獄)の構成

「彼」は画家の卵であるリネアもしくはプントと共に、この世界の仕組みに触れるため、Infernoの最深部を目指す。Infernoは漏斗状の穴で、上から順に7つの圏で構成されている。リネアとプント、どちらと行動を共にするかにより、途中のルートに違いが生じる。



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◆門の【技法】
それまでの絵画というのは、どこか非人間的であった。言葉を変えれば「下手」であった。なぜか。目に見えるものをそのまま描かないからであり、目に見えないものを描こうとしているからである。人間をありのままに描こうとした絵描きは、「輪郭線」を描かない事によって、絵画の中の人物に人間味を持たせた。人間に輪郭線などないからだ。絵描きは絵画による人間の再生を求めた。しかしその技法は、悪魔の技法とされ、当時の教会から怒りをかう事になる。



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◆門の【律動】
かつて「セガレ」と呼ばれていた彼は、画一化した社会で相変わらず、律動人型として生きていた。あれ程持ち続けていた、「生きている」事への疑問すらも今は忘れつつある。ある日、都会の真ん中に大きく空く穴を見つける。穴の傍には絵描きの卵、リネアとプントが点と線のみで人間を描いていた。聞けばその穴はもともと、二人の師である絵描きが地にうがった一つの点であったという。師はこう言ったらしい。
「点と線さえあれば、この世の人間らしいものはおおよそ描ける。」
カレは再び「生きる」事の意味を探し、その絵描きを追いかけて、絵描きの卵達と共にInfernoの中へ堕ちていった。


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◆第一圏 《Cordman【配線】》 
(リネア編)
人間の中には高度な配線が敷かれていて、脳で考えた事を体の各部署へと伝達する。では、もしその配線の仕方が間違っていたり、勝手に外の世界へと繋がっていたらどうなるか。自分の意思を正しく体が受け取れるか。身体の自由を奪われた刑事、青木とその周りの、間違った配線の元に生きる人間達の牢獄。

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◆第一圏 《Cordman【配線】》 
(プント編)
人間の中には高度な配線が敷かれていて、脳で考えた事を体の各部署へと伝達する。では、もしその配線の仕方が間違っていたり、勝手に外の世界へと繋がっていたらどうなるか。自分の意思を正しく体が受け取れるか。身体の自由を奪われた学生、藤木とその家族の、間違った配線の元に生きる人間達の牢獄。

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◆アケローンの【渡河】
Infernoの奥深くへ行く為に渡らなければならない、いわゆる、三途の川として知られるアケローンの川。理不尽かつ横暴な川渡し達との前に横たわる川渡り問題。



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◆第二圏 《Watchman【吹替】》 
(リネア編)
サイレントの世界で生アフレコをするウォッチマン。人形遊びのように人と人との関係を完全第三者の視点から勝手に想像し、勝手に物語を創造する者達の牢獄。派遣切りの被害者かつ、ホームレス界のガリレオとの声高いトリメさんの前に、強敵が立ちはだかる。

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◆第二圏 《Watchman【吹替】》 
(プント編)
サイレントの世界で生アフレコをするウォッチマン。人形遊びのように人と人との関係を完全第三者の視点から勝手に想像し、勝手に物語を創造する者達の牢獄。派遣切りの被害者かつ、ホームレス界のガリレオとの声高いトリメさんの前に、空気を読まない男が立ちはだかる。

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◆ミーノスの【審理】
Infernoへ落ちた者の罪と、それに相当する居住区を決める為の審判。カレ達がやってきた際にはちょうど、悪魔の技法を生み出した絵描きがここで裁かれている。


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◆第三圏 《Rangeman【範囲】》 
(リネア編)
範囲の牢獄。例えば自分と、誰かとが一本のロープで結ばれている。自分は東へ向かっているが、もう一人は西へ向かいたいようだ。ロープの長さは有限である以上、当然両立はできない。運命の赤い糸だろうが糸である以上、これと同じ事である。

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◆第三圏 《Shapeman【輪郭】》
(プント編)
残像を残す者の牢獄。誰かが生んだ残像は「型」となる。それは他人にあてはめるもので、どんなシチュエーションであろうと、「型」に支配される。この牢獄では一人が生み出した残像によって他の行動は固められ、誰しもが画一化していく。

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◆第四圏 《Flowman【伝言】》 
(リネア編)
シリーズお馴染みの伝言の牢獄。物事は間に人が介入すればするほど歪んでいく。物事の真の姿はそれが生まれた瞬間でしかなく、誰かに知られた瞬間に別の物に変化してしまう。ただ知られなければ、存在すらしないという事になる。すると、この世に真なる物は存在しないのか。

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◆第四圏 《Fitman【挿入】》
(プント編)
無益な会話に興じた為に、喋り言葉を制限された者達。彼らは黙る事を禁じられ、それでいて喋る言葉にもルールがある。言葉を無限のものと勘違いして浪費した人間達への罰は、思考的会話の牢獄における、馬鹿馬鹿しくも無生産な井戸端会議である。

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◆ディーテの【市場】
その市場は入り組んでいて、訪れた者を惑わせる。ここでは道どころか、自分が誰かもわからなくなる。わかれ道で正しい道を尋ねたければ、そこに座る嘘つきに聞いいてみればいい。きっと、強欲な者が集う市場へ導いてくれるだろう。


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◆第五圏 《Blankman【空白】》 
(リネア編)
人間の記憶はあてにならない。記憶の空白というものが生じる。もし数分後の「結末」だけが与えられていたとしたら、今現在からその「結末」までの空白をどう埋めるべきか。空白の中に因果関係を作り出す者達の牢獄。

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◆第五圏 《Speakerman【拡声】》
(プント編)
自分の言葉は本当に自分の所有物であるといいきれるのか。例えばそれが他人の口から発せられたとしたら。同様に、自分の口から意図しない他人の言葉が流れ出たらコミュニケーションに責任がとれるか。言葉に紐付けできない者達の牢獄。

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◆コキュートスの【巨人】
地獄の底辺の手前には、その昔「主」に逆らい、戦い続けた者達が鎖に繋がれ、氷漬けにされている。その者たちは、一定の動きのみを永遠に続ける機関の一部としてしか存在していない。その中の一人は見ようによっては、カレが少年の事、「お父さん」と呼んでいた男に見えなくもなかった。




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第六圏 《Flagman【条件】》
「主」は確信した。物事の連鎖と因果によって人間達が動くならば、各々に簡単なプログラムを条件づけるだけで人間は勝手に動き、未来永劫にわたって「営み」らしき真似事をするのだ。それこそが「Performen」としての正しい姿だと。
やはり「The Creator」たる自分は間違っていないと。
「The Creator」たる自分が間違えているはずがないと。




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◆ルチフェロの【深淵】
カレらは漏斗状の最深部に辿り着き、絵描きに対面する。そこは世界の底辺だという。Infernoが地中深く掘り下がった為に、裏側の世界に大きな山が盛り上がった。
絵描きは地面の下を指して言う。あの山がPurgatorio(人間の生きる世界)だ―と。この世に存在する意味をまっすぐに問うカレに、絵描きは簡単には答えを与えない。
どこまでも冷淡である。
「『何か』に動かされているならどうして自分達は存在しているのか。」
「生きている事に意味があるのか。」
カレは答えを導き出すことができるのか―。



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