物語をより楽しむ為に（世界観） of シアターグリーン3劇場連動企画

現在の地球の時間軸の延長にある21世紀後半、地球の資源が枯渇し始めると、人類は宇宙を目指し始めた。地球に良く似た環境の惑星を捜し、また環境を地球に似せる事で移住する計画を立てる。数度に及ぶ火星移住計画が実施されたが、そのすべてが失敗に終わり、今現在は相変わらず地球で居住している。

地球の外に住環境や資源が期待できないとなると、残されたそれらを巡って頻繁に戦争が起こるようになる。世界の人口は緩やかに減少傾向にあった為、どの国家も国家としての機能を維持するのに支障を来たし、世界全体が二つの陣営に統合されつつあった。中国を中心としたERE[Empire of Red Egoists（赤い自己中帝国）]と アメリカ合衆国を中心とするUSQ[United States of Quarrelsome(喧嘩上等合衆国)]の二つである。二つの陣営は三度にわたる大戦を引き起こし、人類社会に深刻なダメージを与えたが、それでも20世紀に行われた大戦よりも、人的被害は少なかった。理由は二つある。一つは核兵器などの大量破壊兵器が使われなかった事。二つには投入された兵力は「AL」と呼ばれる一種の「ロボット」であり、人間同士が衝突する事が無かったためである。

人間に使役されるロボット、「AL」は25世紀末に人類に対し、叛乱を起こす。この頃になると、人類とALの人口比は１：２程になっており、数で圧倒するALに恐れをなした人類は、先の大戦ですら使用する事のなかった核兵器を使用し、たった半年で勝利を収める。双方の人口を半減させ、居住可能な地域を半分にし、一年の半分を費やしたこの戦争をGerra Erdia（半分戦争）と呼ぶ。Gerra Erdiaの後、核の後遺症により地球の気候は変化し、約400年に渡り劣悪な住環境となる。高度に繁栄した文明や科学技術の大半は失われた。生き残った人々の住環境は中世の水準に戻り、建物は木や石と土で象られ、遺構として町の各所に点在する鉄製の機械にかつての名残を感じるぐらいである。

こうして自らの手で社会を壊滅させた人類は、いがみ合っていた２つの陣営を解体させ、汎人類連合AMU (All Mankind Union)という世界国家にまとまった。AMUがまず着手したのは、ALの迫害と管理である。迫害は過去の復讐の為に行われ、管理は未来の脅威を取り除く為に行われた。こうして人間にとってALとは忌み嫌うものであり、時が経つにつれ過去の行いは神話化し、まるで悪魔のような存在として語り継がれてきた。

現在の世界地図の南半球部分は殆どが海に覆われている。残された北半球を24等分し、北極と南半球地区を併せ、AMUによって全世界は（A～Z）の26地区に区分されている。
大規模な都市はなくなり、小さな集落が数多く点在する。集落は「町」程度の規模で、かつての城塞都市のように外周を壁で囲まれている。（カルカソンヌ型）人口の大小に限らず、このような集落を「市」と呼称する。ただし便宜上、町の代表は「町長」と呼ばれる。

この頃になると、地表の60％は乾燥した荒野となっていて、雨は降らない。多くの人々は「雨」という概念は何となく知りつつも、その存在を知らない。日中はかつて太陽と呼ばれた「ES（エス）」からの光が注ぐ。これを人体に長く浴びると体に変調をきたすとされていて、古来よりいかに光をよけ活動するかが問題視されてきた。