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lgp01a201312040200.jpg▼君臨する王は根拠も不明な絶対的かつ神聖な権力を有し、法を用いて私欲の為に民衆を支配した。
愚昧な王は時に自らの欲望を満たすため、民衆の財産を自由に収奪し、周辺国への野望により戦争を繰り返す事で民衆の生命を徴発する。無知で愚昧な王の発する法律は毎日のように増えていき、それに服さない者は容赦なく処刑されていった。稚拙で無知で愚昧な王の圧政により国家は荒廃したが、人々はそれに抗う術も持たず、阿呆で稚拙で無知で愚昧な王の機嫌を損ねないように、息を殺して日々の生活をただ送っていた。

images.jpg▼島の北端には小さな村があり、王の名代たる代官によって統治されていた。この村も例外なく、法によって厳しい徴発と役務に悩まされている。代官は村人達に深く同情しており、彼らの不満が悪い方向へ暴発しないよう、持て得る限りの誠意と慈悲を持って治めていた。だが、とある王命を機に村内では小さな論争が起き、いつしかそれは王政への不満へと変わっていき、やがて村人たちの手に武器取らせるまでに至った。代官はその行為が彼らの為にならないと憂い、必死になって説得を続けるのであった。

▼同じ時期、王宮内では宮宰によるクーデターが起き、王はわずかな側近を伴って落ち延びた。その事実はこの小国の、更に辺境のこの村までにはまだ行き届いていなかった。それが証拠に、村に自分が王であると名乗る男が現れても、誰一人として信用しなかったのである―。

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E38388E383AAE382B9E382BFE383B3E383BBE38380E383BBE382AFE383BCE3838BE383A3.jpg▼大西洋に浮かぶグレイトチャーターと呼ばれる島々は絶海の孤島である。そこの歴史に存在したとされる小さな国は、他の文明圏との隔絶し、独自の文化風習と法制度によって統治されていた。島でフィールドワークを行う研究者グループは、唯でさえ恵まれない観光資源には元々興味も薄く、彼の国がどのように成り立ち、何故滅亡するに至ったかを調査している。王と民衆の約束たる法令を刻んだ石版「モナーク」を新たに幾つも発見された。

20080409225005.jpg▼既に過去の法である「モナーク」であるが、現地の人間は未だに畏怖しており、かつての王政がいかに苛烈であったかが語り継がれているように思われる。こうして調査は順調に終わる予定であった。そして島を離れるはずだった日から既に数日。荒天によって航路を閉ざされた研究者たちは、島を出られるその日まで、共同生活を送らざるを得なくなっている。時が経つにつれ、少なくなっていく食糧と、コミュニケーションの取れない現地人たちの不気味さに身の危険を感じつつあり、いつしかそれは現地の住民を上手に支配しなくてはならないという強迫観念へと変わっていった。

▼誰かが思い付きで提案する。過去の法である「モナーク」を使用して島内に秩序をもたらす事はできるのか、と。こうして彼らは、まずは自らの身を守る為、昼間に法を作り、夜中に等しくあの王国の夢を見る。

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