【61】 河瀬「待って。それ、血がついてる」 藤丸「俺の血だ。擦りむいた時の」 河瀬「普通、洗って返すんですよ!」 藤丸「洗濯しないんですよ」 河瀬「しろ!」
【62】 野村「というか、見てたんですか?その喫茶店にも行ったんですか?」 藤丸「行ったんですよ。いや、べっぴんさんだったから。気になって。ムラムラしちゃって。いや、深い意味はないけど」 児玉「やってる事、変質者だぞ!」
【63】 和泉「罪滅ぼしかもしれません。大学を出たばかりの頃、召集され、軍属として、多くの人を殺めた。それをなかった事にして、こうして生きているのは、耐えられないんです」 平井「でも、それはアナタだけじゃない。復員してきた誰もが」 和泉「それをひた隠しにして、ただ日々を送る。時が経ち、記憶が薄れるのを待つ。そして死ねば何も残らない。僕は違うと思う」
【64】 嵯峨「あの。そう言えば。気になってはいたんですが。受付でお預かりしている手荷物の中に、猟銃のような物がありまして。いえ。包まれているので、中身はわかりませんけど。郵便局発砲事件の話を聞くと、アレはもしや…。という気がしてきました」 児玉「…猟銃?…誰から預かった?」 ―嵯峨、藤丸を指さす。
【65】 神沢「翻ってこれは、この国にも言えるんです。日本を含め亜細亜は小さな国々です。それでも欧米列強と渡り合う為には、ただ力で立ち向かってもだめ。頭を使えばいずれ、対等に向き合える日が来る」 嵯峨「え、そんな社会的な主題があるんですか。これ」 双葉「もしかして、それか?」 立花「プレス・コード」
【66】 立花「結婚を認めなかった事、後悔なさっているんですか」 神沢「何であの時、認めてあげなかったんだろう。たった一度のあの子の我儘を。この本を見るたび、小さな棘のように胸に刺さる。いつか孫の顔を見てみたかった。そして読んであげたかった」
【67】 河瀬「じゃあ何なのよ!別の女でも好きになったか」 山部「消滅してしまうからだ!」 河瀬「意味が分からない!」 山部「怒るのも無理はない。だからといっていいか?私を殴ったり蹴ったり首絞めて殺したりするのは受け付けない」 河瀬「言ってる事勝手すぎない?」
【68】 立花「これは発禁ですよ。おかしいです。ヘビも冬眠すると思うんですよ」 双葉「突っ込むところはそこじゃないと思うのよ」 立花「何か。かわいそうになってきました。あの原稿だって、受け取れないですし。彼女、本当に拠り所になるものがなくなってしまう」
【69】 井上「天下の野郎が来てるんですね。親の仇です。実の親じゃないが」 山部「何を訳の分からない事を言ってんだ!引っ叩きたい!」 河瀬「引っ叩きたいのはこっちよ!」 山部「いや、引っ叩くのは良くない!」
【70】 井上「もちろん、俺も指つめて自分なりの落とし前はつけさせてもらいましたがね」 双葉「それ、戦争で失ったって聞いてましたけど」 井上「ええ。忘れもしません。第四次 代々木頂上戦争ですよ」 嵯峨「ああ、そういう感じの戦争」
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撮影者:佐藤淳一 ※この画像の著作権は団体並びに撮影者に帰属します。