用語解説 of シアターグリーン3劇場連動企画

BISKIA(ビスキア)市

物語の舞台となる円形の城壁で囲まれた町。町の中には国境の壁が建設され、東西に分断されている。ビスキアを上空から見ると、プラザと呼ばれる区画が町を中心に放射状に広がり、その形状はさながら歯車のようである。AMUのF地区に存在する市。現在の地図に照らし合わせると、スペイン北東部のバスク地方に相当し、ピレネー山脈の麓に存在する。かつてはEREの最西部に位置する領域にあり、手工業で栄えた町であった。ビスキア市は世界に676ヶ所あるALを管理収容する為の施設である。つまり、現在のビスキアの住人はすべてALであるが、当人たちはそれを自覚していない。物語の30年程前にビスキアの住人は叛乱をおこしたが鎮圧され、ほぼ全員が処分された。その後、近隣の同様のAL収容所から強制移住させられてきたのが、現在の住民の親世代である。

biskia.png

AL(エル)

Algo-ritmi(アルゴリトミ)は、人間の形、人間の言動、人間の感情、人格を持った「機関」である。所謂、ロボットやアンドロイドと言った存在が、完全な自我と思考を持ち、より人間に酷似したもの。「エル」と通称される。当初は「~すると~する」(例:「触ると持ち上げる」)という原因と結果のプログラムを持ち、人間に代わって単純な作業をこなすだけの道具であった。その発生及び、製造方法などは謎とされるが、性質は世界中で研究され、人間社会においてあたかもかつての奴隷の様に使用・消費される事となった。やがて人間と同様に繁殖し、社会を形成するようになる。かつて人間に敵対し、人間社会に深刻なダメージを与えた事から、忌まわしい存在と危険視されているが、もはや現存してなく、歴史上の存在とされてきた。

f0230.jpg

UR(ウル)

化石燃料の一種で地下の鉱脈から採取される直方体の固形燃料。燃焼させる事で靄(LG)を生み出す。この靄は対流圏で雲を形成し、ESの光を遮蔽する働きを持つ。この事から、ウルを燃やす事で人工的な雲をつくって日陰を恒常的に生み出す事が日常生活に必須とされる。鉱脈に向かって井戸を掘り、そこから採取する。固体ではあるが慣習的に「汲み出す」という表現を使用する。ウルを燃焼させて生み出される靄は、液化すると強アルカリとなり、人の皮膚を溶かす程に有害である。

1023B-446.jpg

ERE(イーレ)

ERE[ Empire of Red Egoists ]は中華人民共和国を中心に誕生した東の大国。ALを兵士として使役し、ユーラシア大陸の4割に侵略するに至る。大陸の制覇を目論見、欧州侵攻を実施し、ユースクと断続的な戦争状態にあったが、ビスキアを境に停戦する。町の東側を領土とする。中国における人民解放軍の軍事クーデターを皮切りに、東アジアで断続的に勃発した武力衝突は、やがてロシアの介入を招き極東戦争へと発展する。ALを兵士として使役した解放軍は共産党を解体、その後も戦局を有利に進め、ユーラシア大陸の4割に侵略するに至る。軍指導者であった楊子襄を終身元首とする国家樹立を宣言する。その後、大陸の制覇を目論見、2度にわたる欧州侵攻を実施するが、ALの叛乱を招き、Gerra Erdiaにおいて国家機能は失われた後、AMUに統合される。

ere.jpg

USQ(ユースク)

USQ[ United States of Quarrelsome ]は、EREの欧州侵攻により消滅したEUを救済すべく誕生した西の連合国家。欧州においてEREと紛争を繰り返す中で、ALの戦略的使用を完成させる。欧州解放戦役において優位を保ち、ビスキアを境に停戦する。町の西側を領土とする。元々、環太平洋戦略的経済連携協定の加盟国で結成された緩やかな連合体であったが、EREの欧州侵攻により消滅したEUを救済すべく、A.D.2204年に唯一独立を保っていたイギリスを含む形で正式に連邦国家となった。その後も欧州においてEREと紛争を繰り返す中で、ALの戦略的使用を完成させる。欧州解放戦役においてEREに対し優位を保ち、世界的な軍縮を実現させる。Gerra Erdiaにおいて国家機能は失われた後、連邦大統領ジョージ=へリングはAMUを提唱し、EREを併合、人類連合へと移行する。

usq.jpg

AMU(アミュー)

AMU [All Mankind Union(汎人類連合)]。文明崩壊後に、人類の共通の敵はALであるとの機運が高まり、人類は自然と一つの共同体に寄り添うような希望を持っていた。2つの国家のうち、比較的機能していたユースクが提唱し、人類による人類の為の単一国家が形成される。全世界を26地区に分け、その国家理念の一つにはALの迫害と管理が掲げられている。
現在の世界地図の南半球部分は殆どが海に覆われている。AMU政府により残された北半球は24等分に区画され、北極圏と南半球の海洋部分を併せる事で、全世界は(A~Z)の26地区に区分されている。中央政府の元にそれぞれ地区総督府を置き、中央から派遣された総督が総覧する。各地区はさらに4ヶ所の人類市と、26ヶ所のAL市が置かれている。各市には中央から行政官が派遣されて民政を担当しているが、AL市を監督するのは、後述するMOSの職員である。集落は「町」程度の規模で、中世の城塞都市(カルカソンヌ型) のように外周を壁で囲まれている。人口の大小に限らず、このような集落を「市」と呼称するが、便宜上、市民の代表は「町長」と呼ばれる。

amu.jpg

MOS(モス)

 MOS[Man on System]。中央政府直属のAL管理部局。ALの研究成果は文明崩壊後に失われていた為、新たにALの生態研究を行い、管理し、また人類に対してはALに対する歪んだ認識を教育・流布する機関。各AL市には数名の職員が駐屯し、身分を偽ってAL達を監視監督している。
 文明崩壊後に、人類と対比してALの人口が爆発的に増えた事を危惧したAMUは、かつてALが自我を持つことで人間に対し戦争を引き起こした事を教訓に、ALがALである事を自覚しないよう、また人間に対して差異を感じる事の無いよう錯覚させ続けている。その為に世界政府たるAMUというものの存在自体を隠し、世界は未だにEREとUSQが紛争を繰り広げているという幻想を植えつけた。ALが一致団結しないよう、AL自身を2つの陣営に分け、いがみ合わせる事で人類に対して反抗しないようにしている。その為に、MOS主導の下、人類はこの世界が戦争状態である様に演じ続けている。

f0094.jpg

Plazak(プラザ)

プラザ[Plazak]はビスキアの外に放射状に延びる区画。プラザの上空は常に靄が薄く、空からの光が差し込みやすくなっている事から、住民たちは「呪われた土地」と恐れて足を踏み入れる事はしない。結果としてそれが東西の国境としての役割を果たしている。
一般的に各AL市の外に設置された区画で、その上空は靄が常に薄い事からESの光が照らし易く、ALが立ち入ると行動を著しく制限される。プラザにおいてESの光を浴びたALは、足に通常の8倍の重力を感じ、行動が著しく制限される。元々は、ALが町の外へ出ないように、また、外からALが迷い込まないようにと設置された。また密かに、外見では判別できない人類とALの差異を明らかにする方法の一つとされてきた。

f0143.jpg

Bastille(バステル)

ビスキアの地下に存在する牢屋であるが、実際は町を破滅させる為の時限装置。AL市は町そのものが、一種のガス室の様な役割をもっており、住人達に不穏な言動が見られると、MOS職員の報告を受けた中央部局の指示でALの処分が認められる。ALが日常に於いてウルからLGを生み出し、それがやがて町に腐食性の大雨を降らせる事で根絶やしにさせる。
その際に、建物等に隠れられては無意味な為、システムが作動すると町中の屋根が取り払われるような仕組みになっている。この一連のシステムのトリガーがバステルである。この牢は「員数牢」といい、定数の人員が特定の床の上に乗っていなければ一定の時間の後、システムは作動する。事情を知らず、または耐えきれずに床を抜け出した者の行いで、自分たちが滅びるという残酷な方法を採らせている。

1023B-1.jpg