電動夏子安置システム
第27回本公演
【また悪だくみをしているのね】
1963年。
東京で1人の少年が行方不明になった。
当初は迷子か事故ではないかとみて、警察が捜査や聞き込みに当ったが、
その結果、誘拐の疑いがあるものとして、警視庁捜査一課は所轄署に捜査本部を設置する。
少年が行方不明になってから2日後、被害者宅に犯人らしき男から身代金を要求する電話が入る。
犯人は高額の身代金と、受け渡し場所として近くの自動車工場を指示した。
少年の親戚の者が運転をし、母親が身代金を運ぶ事になる。
5人の刑事は目立たないように、2階から隣家の物干し台を伝って裏道に出て、
そのまま自分の足で走って自動車工場へ向かう事になった。
現場指揮官の警部補は、工場に同時に到着できるよう、「待て」のつもりで右手を挙げたが、
それを「発車」と勘違いした運転手は車を出してしまった。
慌てて走り出す刑事たち。
車と殆ど一緒に駆け出した以上、車の方が先についてしまうのは明らかだった。
良く晴れたこの日の気候は、まだ春先ではあったが夏のように暑かった。
母親は到着すると指示された車の荷台に金を置いて立ち去った。
走ってきた5人の刑事がバラバラに到着し、それぞれ分担しておいた位置で物陰に隠れ、息を殺して犯人を待った。
だが、30分経っても犯人らしき人物は現れなかった。捜査員たちはミスをした。
彼らが見張っていたのは工場の正面に止まっていた車で、犯人が指定したのはその横に止まっていた車だった。
およそ1時間半が経過した時点で現場から金がなくなっているのが判明する。
犯人は、警察が見張る以前に金を奪っていた。わずか3分ほどの間の出来事だった。
金を奪ったまま、以降犯人からの電話はなく、少年も戻ってきてはいない。
進展もないまま事件発生から丸2年が経つ1965年、捜査本部はついに解散となる。
だが捜査が終わったわけではなく、以降、少人数による専従捜査に切り替えられた。
5人の刑事は専従捜査員に加わる事を申し出たが、これは認められなかった。
捜査は後に昭和の名刑事と呼ばれる平塚八兵衛に引き継がれる事になる。
この年の夏、とある食品会社重役が失踪した。
妻からの通報により、警察は身代金目的の誘拐事件と認定。
捜査一課に発足したばかりの特殊犯捜査係の5名は高台に建つ重役宅へ急行した。
あの時の5人の刑事であった。
狼狽する妻に迎え入れられたリビングは、冷房が効いていて、外とは別世界の様に感じる。
どんなに快適に冷やされても、彼らは少年宅から工場まで全力で走ったあの日の暑さを忘れていない。
それは、あの時の失態は二度と繰り返さないという誓いでもあった。
リビングで彼らは犯人からの電話を待つ。
今日という一日は長くなる。
こうして雪辱を誓う男たちと誘拐犯の頭脳戦が始まろうとしていた。
が、やがて連れ去られたはずの重役が何事もなかったかの様に帰宅してきてしまった事から、
熱いと男たちの周囲では異様な喜劇が幕を開けようとしている。
高台の窓から厳しい眼差しで外を眺める主任刑事の目には、遠くの焼却炉から立ち上るピンク色の煙が見えたが、
それは今、この物語とおそらく関係ない。
【日程】
2012年8月7日〜12日
【会場】
シアターKASSAI
【脚本/演出】竹田哲士
【出演】
小原雄平
道井良樹
なしお成
じょん
岩田裕耳
横島裕
添野豪
高田淳(X-QUEST/ドルチェスター)
田口愛
四條久美子(ペテカン)
小舘絵梨
蒻崎今日子(JACROW)
【タイムテーブル】
7日(火)19:30★
8日(水)15:00★/19:30
9日(木)19:30
10日(金)15:00/19:30
11日(土)15:00/19:00
12日(日)15:00/19:00
受付開始は開演の50分前、開場は開演の30分前です。
【料金】
前売:2,800円
当日:3,300円
早期割:2,500円(★印の回・要予約)
夏子割:0円(劇団のみ取扱い・要予約)
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