電動夏子安置システム第45回公演

クリキンディの教室

あらすじ

Concept
 
鬼を退治した桃太郎は傷害罪か、
正当防衛で無罪か。
 
とある小学校では、
環境問題に熱心な教育委員会の要請で
SDGsに取り組む事となった。
その目標の一つである
「質の高い教育をみんなに」
に基づいて、体系的な思考力や
批判力を養う為に、
身近な昔話『桃太郎』を題材にした
模擬裁判を計画していた。
教師たちが物語の
流れを確認している時、
ふと誰かがつぶやく。
 
放課後の職員室で延々と続く、
虚実が入り混じった
持続可能(サステナブル)な会話劇。
 
 
 
チラシデザイン 高野 菜々子

舞台写真

Photo
撮影者:佐藤淳一
※この画像の著作権は団体並びに撮影者に帰属します。

《吉備野》
このように被告人、桃太郎は『鬼退治』と称して、持っていた刃渡り70センチの日本刀で鬼の一人を斬り殺し、数十人に重軽傷を負わせました。

《若武》
裁判には納得できません。桃太郎が間違っていたとは思いません。

《漆葉》
若武先生。そこは流れの通り、罪を認めてください。

《都築》
家族を奪われてしまう人たちがいた。だから、彼は立ち上がった。

《若武》
あっぱれ!

《都築》
うるせぇ!

《流川》
もちろん止めましたよ。お婆さんと一緒に、必死に止めました!

《苅山》
俺が読む所だよ!お婆さんがお婆さんと一緒になって止めてる!お爺さんどこ行った!一緒に止めてるお婆さんはどこのお婆さん!

《佐崎森》
猿にしてみればですよ?「団子一つで鬼退治なんて割に合わない」と断ったはずなんです。そしたら急に脇腹を蹴られたんですよ。

《漆葉》
どこに書いてあります、そんな事。

《犬飼》
私はね、鬼ヶ島の戦いでね、猿が死ねばいいと思っていた。鬼にやられないなら、私が背中から襲い掛かってやろうと思ってさえいた。

《佐崎森》
ちょっと、仲間に対して酷くないですか。

《留田》
キジがケンケン鳴くと思っているのは、常識に凝り固まっているからです。それはアナタのキジ。キジを解き放たないと。ルーロルロ。ルーロルロ。これは私のキジ。キジと言うか、そういう枠組みすら超えた鳥、というか概念。いや、世界。

《漆葉》
でも私が訊いたのは「ポパラングール」って何?って事なんですよ。

《苅山》
え。「クリキンディ」じゃなくて?

《漆葉》
そんな聞き間違え方ある?

《佐崎森》
ゴミ捨て場の横に車を停めているのは、先生ですよね。大問題です。

《漆葉》
吸い殻?私が吸ったって言うんですか?

《佐崎森》
リサイクルボックスに、関係ないゴミが入っているんです!これらを入れた奴を特定して、殺します。

《鬼塚》
大変だ。吉備野先生が花を植えた所が、踏み荒らされている。

《留田》
というか、さっき電話したんだけど、

《鬼塚》
本当か。すまない、鳴った事、全然気づかなかった。あ。バッキバキだった。

《留田》
これよく覚えてます。タイトルは何でしょう。

《若武》
はい。「純真無垢な心」じゃないですか。

《留田》
やっぱりこれ、正解じゃないわね。元の作品は、ここにあと一つパーツがくっついていたんですよね。美的なバランスが気に入らない。

《都築》
いや、あの、タッパーはあったんで。

《苅山》
タッパーって言っちゃってる!話が違うじゃないか!

《流川》
うちのクラスのコたちが…みんな亡くなってて。朝は生きていたと思うんです。

《都築》
校長も教頭も教育委員会から呼び出しがあって。どこの学校か知りませんけど、教師と保護者のただならぬ関係が噂されてるようで。

《鬼塚》
水槽?もしかして、水槽のメダカの事か?

《流川》
初めからそう言ってるじゃないですか!メダカです!

《都築》
というか犬飼先生。大丈夫ですか。お尻から、出血してませんか。

《犬飼》
やっぱり出ちゃってます?あまり気にしないでください。

《鬼塚》
先生。僕、この前、訊かれた事を調べた。猿の殺し方。

《苅山》
アナタ、誰に何を訊いてるんです。

《若武》  
6年3組。全滅です!誰もいません!全員失踪事件です!

《佐崎森》 
みんな、下校しただけです。死んだのは飼育していたメダカ。

《佐崎森》
でもあの程度のメダカとの距離感で、そこまで感情移入できますね。

《流川》
先生はメダカがかわいくないっていうんですか?

《吉備野》
はい。やっていないと主張する彼を信じ切って、最後まで守ってあげられなかった。私なんて教師の資格がないって悩みました。でもとある人の言葉に救われて、踏みとどまることができてるんです。

《若武》  
親御さんとは何度かお話させてもらってます。いいですか。面識のあるなしじゃない。俺のクラスになった子を、信じるのは当然の事です。

《犬飼》
そんな大層な事では。自分にできる事をしているだけで。

《都築》
それは私が言うべきことでは?もう言っちゃったからあれですけど。

《流川》
野生の猿を勝手に殺したら、それはそれで問題になると思います。ていうか、猿が可哀そう。

《犬飼》
猿の味方ですか。先生は人類の敵ですね。よろしい。ならば戦争だ。

《犬飼》
ですから。血が出てるのは尻です。見ますか?ここの、

《苅山》
見せるな!水道は!どこの!

《都築》
時々、あの校舎から変な音が聞こえない?音っていうか、声みたいな?え?私だけ?

《流川》
え。怖い。怪談みたいな事?

《流川》
ちなみに一本東側の路地に吉備野先生が密かに通ってるホストクラブがある。

《都築》
ちょっと待って。女性と一緒じゃない?

《吉備野》
これ北島くんの…お母さんです。

《犬飼》
世界の貧困や格差をなくして。地球環境の悪化に歯止めをかけて。そうやって世界がいい方に続いていくよう定めた17の目標です。

《若武》
成程、どういう事ですか。

《犬飼》
私もよくわかっていません。

《漆葉》
私が以前いた学校では、模擬裁判を通して、6年生に刑事裁判の流れを学んでもらいました。目標4である「質の高い教育をみんなに」に基づいて体系的な思考力や批判力を養うのが目的です。

《漆葉》
私が裁判官をやります。残りの役をくじで割り振りましょう。

《流川》
私、おばあさんがいいです。ていうか、お母さんがいいです。桃太郎を産みたいです。私に元気な赤ちゃんを産ませて。

《鬼塚》
僕は鬼塚だからどうせ鬼だ。いいんだ。そうだろ?皆そう望んでいるんだろ?さあ、豆を。豆をぶつけてくれ。

《佐崎森》
どうしたどうした。何か嫌な事あった?

《都築》
頭の中に。確実にスズメが浮かんでるんだけど、それはキジか?

《留田》
それはキジよ。

《吉備野》
むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。おばあさんが川で洗濯をしていると、ドンブラコ、ドンブラコと、大きな桃が流れてきました。

《吉備野》
むかしむかし、ある所に、

《鬼塚》
わからない。どこだ。具体的な場所を明確にした方がいい。

《鬼塚》
時代背景がわからなければ、その山奥での暮らしぶりがぼやける。こいつらが、日々、何をして、何を食べ、何を着ていたのか。それすら知らないまま、よく存在できるな!

《鬼塚》
そんな姿勢で、よく作品に向き合えるな!

《苅山》
SDGsだ!題材となる物語にもSDGsを取り入れた方がいい。

《若武》
なんか憧れますけどね。そういう生活も。

《犬飼》
暮らしとは死ぬまで持続させていくものです。憧れるだけでは―

《留田》
住みにくい場所はどうしても衰退していきますよね。生活を持続するには、ある程度の社会的な関わりが必要で、いわば、自然と上手に付き合うバランス?それが、こういう事なのでは?

《鬼塚》
ではせめて交通のアクセスをよくしたらどうか。

《佐崎森》
どういう事。行き来しやすくするために道路でも作る?

《流川》
じゃあ家にいても退屈しちゃうんで、街で仕事とか。

《苅山》
パート先で他の男に気が向いたらどうする。

《鬼塚》
肝心な設定を忘れるな。こいつは婆だぞ。

《流川》
1台の自転車なんかサドルが外れて、転がっちゃってて。

《犬飼》
おや?

《鬼塚》
何の話だ。ずっと考えていた。「山へ柴刈り」って、何だ。

《佐崎森》
学校の駐車場にリサイクル工場を建設する計画を作りました。

《苅山》
何、何、何。何を言い出した。何を勝手な事を。

《鬼塚》
このまま柴を売り続けるなら、商売として成り立たせる為に、イノベーションが必要だ。イノベーション。新しい手法。

《漆葉》
じゃあ、佐崎森先生がおっしゃったように、例えば、労働者を雇って大規模な産業にしてみましょう。目標9のこれ。

《鬼塚》
そうか。要らなくなったプラスチックを集めて、RPFを作るんだ。この山奥に、そのための工場を建てるんだ。

《犬飼》
こんなの横暴だよ! 地元に納得がいく説明がなされていない!

《吉備野》
じゃあ、ええとどうなります。『現在の岡山県の山奥深く、道路が整備されてとてもアクセスのいい場所で、RPF工場を営む通称「プラゴミの爺」と呼ばれる社長と、

《吉備野》
川に行かないと、桃に出会えません。

《流川》
いやです。私、行きませんから。この日は、近所の奥様方と趣味のお菓子作りをしますから。そこ書き直してください。

《苅山》
川の水を汚すとな、川の神様に祟られるんだよ。川の神様はヘビなんだよ。ヘビの神様に祟られて脱皮できるようになってしまうぞ。

《佐崎森》
急に頭おかしくなったんですか?

《流川》
…私だって、赤ちゃんを、捨てたくて捨てたわけじゃ…、

《若武》
俺だぁ!

《鬼塚》
出た。謎。桃から子どもが生まれる大謎。

《漆葉》
聖書だと思いましょうよ。キリストだってありえない生まれ方してる。でも、アナタをはじめ、それを信じている。そうでしょう?

《苅山》
忘れてたで済まされるわけないだろう。水を無駄にしたんだ。ヘビ神様への冒涜だ。お前を祟ってやろうか!シャァァァ!

《佐崎森》
もはや先生がヘビに祟られてませんか?

《佐崎森》
先生の車、大きいですよね。窓が真っ黒なアルファードでしょ?マイルドなヤンキーが乗ってるやつですよね。重低音の「ドゥフン・ドゥフン・ドゥフン・ドゥフン」みたいな曲流しながら遠ざかっていくやつですよ。その大きな車の陰に隠れて吸ってるんでしょ?

《留田》
桃太郎という名前からして現代的センスじゃない。あえてその古臭さを狙ってというなら、親のエゴが逆に鼻につく。変えられません?

《苅山》
今、人気のある名前は何だ。

《漆葉》
これに載ってます。…ほら。男の子であれば「蓮(れん)」です。ハスと書いて「蓮」です。レンコンの蓮。

《流川》
先生。もしかして。それってあのお店の…。

《吉備野》
アナタみたいなのがレンを名乗らないでください!

《流川》
確かに、見た目も何もかも違うとは思うけど、

《若武》
納得いきません!ジェンダー平等とは、女性を優遇する事ではない。何でもかんでも女性に変える事ではないと考えます。

《吉備野》
私がやります。レンの名前を汚されるくらいなら。

《留田》
大事なのは子どもの意思。男だから、女だから、そんな縛りにとらわれずに「レン」はどうしたいのか。じゃないですか。

《若武》
それもどうかと思いますね。生き方に学校は関係ありません。

《佐崎森》
仮にも小学校の教師が、そういう事を言っては困ります。

《都築》
「雪原に牛乳をぶちまけた時の衝撃」って言いたかったの。

《犬飼》
「牛乳を雪原にぶちまけた時の快感」

《若武》
先生も落ち着いてください。

《佐崎森》
北島くんが学校に来ない事を良しとしますか。

《若武》
それもアイツの選択でしょう。

《佐崎森》
小6で正しい選択なんかできません。親はどう考えてるんです。

《犬飼》
若武くん。言わなくていい。人が人に恋心を抱くのは仕方ない事だよ。たまたま。たまたま相手が。ね?もちろん、悪い事だとはわかってるんだろう?わかっていても止められなかったんだよな?

《流川》
あの、若武先生が。息できてなくないですか?

《吉備野》
どうだろう。昔は少しやんちゃだったって聞いたけど、今は大切な人を守るためにしか戦わないんですって。恰好よくないですか?ボクシングとかやってるみたいだから強い事は強いはずです。

《苅山》
何の話を聞かされてんだよ。長々とよ。

《苅山》
引き出しに何が入ってるんだ。見せてみなさい。まさか、人々から奪った財宝か?そこが鬼ヶ島なんじゃないのか?なんてな。

《鬼塚》
そうじゃない。見せられない。やめてくれ。

《都築》 
彼ら、仕事もなく、生活にこまったから犯罪に走ってしまう。ならば、彼らに職をあたえてはどうでしょう。つまり「鬼」を工場で雇ってはどうでしょう。社長。

《鬼塚》
そして労働者たちは、立ち上がる。怒りに任せて工場の設備を破壊。投げ込まれる石。飛び交う火炎瓶。

《漆葉》
今、何を見せられているんですか。

《佐崎森》
え。重要な部分だと伺ったので。

《吉備野》
え。じゃあ、暴力を使わず、仲間にも見放され。この状況をどう収拾つければいいんですか。

《留田》
仲間が求めている事に、真摯に応じてあげればいいのよ。

《都築》
新社長。

《吉備野》
え。私が?

《都築》
この事態を収拾できるのは、アナタしかいません。

《吉備野》
アナタ達が何者であっても差別を許さない!いつでも自分の意思が尊重される!その権利を持っている!それが真の平等だ!レンはそれらを一言でこういうんです。「君は僕のお姫様だよ」って!

《若武》
そこでアナタは、この食品工場を相手取り、訴訟を起こします!申し遅れました。弁護士の「元桃 太郎」です!

《都築》
ニューキャラが出てきちゃったよ。

《都築》
アナタが捨てたの?何でそんな勿体ない事を、

《留田》
え。都築先生のだったんですか。あれはルール違反ですよ。

《吉備野》
自分のアイデンティティに自信をもちましょう。「自分は自分にとってのお姫様」なんですよ。

《佐崎森》
ただのゴミ箱じゃねぇんですよ!再生ボックスって書いてあるでしょう。字が読めないんですか?

《流川》
「再生」って漢字で書いてありますよね。読めなかったのでは?

《都築》
悪い事はわかってる。でも助けなきゃならない子どもたちもいる。

《留田》
でも給食室のみなさんの努力を踏みにじる行為だと思います。それに先生が一人で抱え込む問題じゃないですよ。

《若武》
北島の親との話が終わり、時間が遅くなったので、「まっすぐ帰りましょう」と言ってしまったんです。言った手前、実行しなければなりません。ホテルの中を突っ切って、真っすぐ帰っただけです。

《流川》
人殺し!原告の漆葉先生を殺人罪で訴えます!

《漆葉》
これはもう泥沼裁判です。

《若武》
殺虫剤。そうだ。この団子には何らかの毒物が混ぜられていた!この食品工場は、きびだんごを作る過程で、意図的に殺虫剤のような毒物を混入させた疑いがあります!というのはどうでしょう。

《漆葉》
最終的に、猿を殺そうとした犬を裁くという流れなんでしょうか。

《鬼塚》
子どもに見せていいのか。この大の大人が泣きじゃくる姿を。

《吉備野》
『現在の岡山県の不便な山奥深く、道路が整備されてとてもアクセスのいい場所で、RPF工場を営む社長と、社長夫人がいました。』

《流川》
『すると、川上から大きな蓮の葉っぱに乗せられた赤ん坊がラフティングしてきました。社長は赤ん坊を拾い上げて連れ帰りました。』

《留田》
『子どものいなかった社長夫妻は、子どもに「レン」と名付け育てることにしました。レンはすくすく育って、やがていい大学を卒業し、歌舞伎町一のホストを目指して街へでていきました。』

《若武》
『順風満帆な経営をしていたところが、ある時、きびだんごに毒物が混入されたという訴えを起こされます。』

《佐崎森》
『レンは窮地に立たされますが、内部調査の結果、経営陣の一人である「犬」が、同じく経営陣の一人「猿」を、殺害しようとしていた事がわかりました。』

《吉備野》
『「犬」は殺人未遂で裁かれる事になりました。こうして、レンは「犬」を告発する事で、事なきを得たのです。めでたしめでたし。』

《佐崎森》
この人、水使って、手を洗ってます。タバコの匂い消す為に。

《苅山》
おかげで、舌の先が割れてきた。

《犬飼》
何故です?因果関係は?何で?

《吉備野》
やることが極端すぎて、迷惑ばかりかけますよね。動画の件にしろ。

《若武》
動画を上げたのは犬飼先生ですよ。迷惑だって言うなら。

《犬飼》
迷惑なのは自転車のサドルと私の尻を破壊した流川先生ですよね。

《流川》
私は被害者です。漆葉先生にメダカを殺されたんです。

《漆葉》
私なんて吸い殻を棄てた濡れ衣ですよ。苅山先生は酷いです。

《苅山》
いや、酷いのは、水を出しっぱなしにしたのは佐崎森先生で、

《佐崎森》
リサイクル箱にサドルを棄てたのは鬼塚先生で、

《鬼塚》
サンドイッチを置いたのは都築先生で、

《都築》
タッパーの中身を棄てたのは留田先生で。

《犬飼》
若武先生。一緒に夕飯どうですか。駅前あたりで。

《鬼塚》
お前たち2人は駅前に行くな。少しは反省しろ。

《都築》
食べちゃいけないもの、全部教えて。次から気を付けるから。

《鬼塚》
いや、そんな気を遣わないで欲しい。

《都築》
それが「理解」って事だから。その一歩目だから。

《漆葉》
ダメです。先生。お子さんの事は、ご夫婦でちゃんと身体に向き合うんです。辛いかもしれませんし、望み通りにいかないかもしれませんけど。大事な命なんだから。って、私に言われてもですよね。

《犬飼》
あ。この猿、何?うちで捕まえた猿と同じだよ。

《漆葉》
え。これ、飼うのが禁じられてる、海外の希少な猿らしいですよ。

《留田》
ちょうどいいパーツだと思って。ビビっときたの。少しお借りして。

《吉備野》
廃材を利用して作ったんですよね。SDGsを象徴してるって感じ。

《鬼塚》
昨日それを壊したの、先生だな。

《吉備野》
どうしてそう思うの。

《鬼塚》
見てるから。いつも。

登場人物

Cast
 

苅山 直木
(かりやま なおき)

演:道井良樹
主幹教諭
「お前、桃太郎の何なんだよ。」
校内の風紀に厳しく、とりわけ現在は「節水」に力を注いでいる。校内中の水道を常に見回っていて、職員室にはほぼいないらしい。節水の為、校内のトイレも使わないように心がけ、催した際はただひたすら我慢している。職員室の一角に、許可なく蛇の絵を祀っている。
 

犬飼 健音
(いぬかい すくね)

演:熊坂 貢児
6年1組担任
「いっその事、現代の話にしませんか。」
親が遺した山奥の家で、畑仕事をしながら、毎日自転車で往復2時間かけて通勤している。 その疲労感で授業中に目を開けたまま寝てしまい、まともな授業にならないらしい。学校までの山道を下るには1時間5分、家まで上るには55分という謎の脚力をしている。
 

吉備野 実琴
(きびの みこと)

演:小林 知未
6年1組副担任 
「俺は、いずれ歌舞伎町の王になるんです!」
ある児童が不登校になってしまったきっかけを作ったと自責の念にかられている。子どもたちに異常に下手にでるようになってしまった結果、まともな授業にならないらしい。自分を全肯定してくれるホストに出会い、ドはまりし、今までに数百万つぎ込んでいるという噂。
 

佐崎森 妃子
(ささきもり ひこ)

演:新野 アコヤ
6年2組担任
「そう。魂をリサイクルしてやりますよ。」
ゴミ置き場の管理を嫌々やっている。再生ボックスに変なゴミが入れられてないか気になって、まともな授業にならないらしい。最近、そのゴミが再生可能かどうかを判断する第三の眼、「再生眼吽迦羅」が開眼したと言い始めた。職員室の一角に、許可なく三角形の絵を祀っている。
 

流川 未央奈
(るかわ みおな)

演:吉岡 優希
6年3組担任
「私の手に、もう一度、子どもを抱かせて。」
早産で子どもを失った悲しみが癒えぬまま産休から復帰した。児童たちに、成長したであろう自分の子どもを重ね合わせては涙し、まともな授業にならないらしい。教室で飼育するメダカに1匹ずつ名前をつけてかわいがっていたが、呼びかける名前が全部間違っていた。
 

若武 彦太郎
(わかたけ ひこたろう)

演:片桐 俊次
6年4組担任
「何ですか、その動画。誰が撮ったんですか。」
嘘をつくことのできない真っすぐな性格がゆえに、度々、周囲と摩擦を起こす。言葉を噛んでしまうと、自分への戒めとしてすぐに校庭を走りに行ってしまう為、まともな授業にならないらしい。毎日同じジャージを着ているが、30着持っており毎日変えてはいる。
 

漆葉 真白
(うるしば ましろ)

演:高橋 里帆
担任外教員 
「これはもう泥沼裁判です。」
SDGsに絡めて、他校で行った「桃太郎裁判」を提案する。普段、授業を20分ぐらいで切り上げて子どもの恋愛相談に費やす為、まともな授業にならないらしい。家庭への配布プリントに「相思相愛」と書くところを「走死走愛」と書いた事から元暴走族疑惑が沸きあがる。
 

都築 緑
(つづき みどり)

演:なしお成
担任外教員
え、あの、私、失明したかもしれません。
自身の経験から、食事に恵まれない近所の子どもたちの為にご飯を食べさせている。今ある食材でできる献立の事ばかりを考えてしまい、まともな授業にならないらしい。献立を考えている最中に話しかけても「花に水、人に愛、料理は心や」という言葉しか返ってこない。
 

留田 眞緒美
(とめた まおみ)

演:坂本 ともこ
専科教員(図工)
「私は性の解放者になりたい。」
婚約者との結婚を機に、今年度で退職をする予定。授業を「表現の場」と称して「他人を傷つける行為以外は何をやっても自由」と宣言した為、まともな授業にならないらしい。数年前、体育館でトメタ・コレクション(トメ・コレ)を勝手に開催して厳重注意を受けた。
 

 鬼塚 正雄
(おにづか まさお)

演:杉浦 直
英語講師 
「山奥から街中へ設定を変えた方がいい。」
本名ウラジーミルという日系三世。外国人講師だが、見た目が日本人と変わらない為、「日本人でしょ」「違うし」というお約束が、3分置きに発生して、まともな授業にならないらしい。節分の鬼役で、豆をぶつけられたのを機に、それに悦びを覚える体になってしまった。
 
 

上演記録

data
2022年
3月2日(水)~6日(日)
劇場:駅前劇場
 

作・演出

竹田 哲士
 
 

出演

道井 良樹
片桐 俊次
新野 アコヤ
なしお成
坂本 ともこ
吉岡 優希
(以上 電動夏子安置システム)
     
小林 知未
熊坂 貢児(smokers)
髙橋 里帆(ぼすびっち)
杉浦 直(Team かわのじ)
 
 

スタッフ

演出補 中山 隼人
舞台監督 川崎 耕平(ステージハットリザウルス)
舞台美術 袴田 長武(ハカマ団)
照明 山内 祐太
音響 平井 隆史
衣装 新野 アコヤ/坂本 ともこ
小道具 小原 雄平/片桐 俊次/吉岡 優希
映像撮影 岡 俊輔(シナト・ビジュアルクリエーション)
写真撮影 佐藤 淳一(シナト・ビジュアルクリエーション)
web 竹田 哲士
制作 道井 良樹/犬井 のぞみ/吉岡 優希
制作協力 西村 なおこ

タイムテーブル

3月2日 (水) 19:00
3月3日 (木) 19:00
3月4日 (金) 13:00/19:00
3月5日 (土) 13:00
3月6日 (日)
13:00/17:00
   
全7ステージ
上演時間120分

開場は開演の30分前
    受付は開演の35分前
 

チケット料金

(全席指定)

 
前売    :
4,500円
                      
当日    :

5,000円

学割    :
2,000円
(要予約/枚数限定/カルテットオンライン限定/要証明)

夏子券   :
      0円
(お名前が「夏子」様無料/カルテットオンライン限定/要証明)